だるまさんこちら向かんせ世の中は月雪花に酒と三味線…とまあ、こういきたいものです。

『酔っぱらいオヤジのSspiritual Meeting』vol.42 「自己のコンテンツ化」

人気ブログ『ヤスの備忘録』でもおなじみ、
社会分析アナリストの高島康司氏をお招きして、

1 世界で今、起きていること
2 人間の新たなる「精神性」「意識」「思考」

について、飲みながら自由闊達に話すシリーズ。
基本的に毎週更新。

〇『酔っぱらいオヤジのSpiritual Meeting』第42回
「自己のコンテンツ化」

ゲスト:高島康司氏
聞き手:西塚裕一(五目舎)
2016年4月16日 東京・中野にて収録

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西塚 みなさん、こんにちは。『酔っぱらいオヤジのSpiritual Meeting』の第42回です。今回もヤスさんにおいでいただきました。よろしくお願いします。カンパーイ!

ヤス こちらこそ、どうも。カンパーイ!

西塚 熊本が、大変なことになりました…

ヤス ちょうど5日前に、シンクタンクの友人たちからメールがきて、南海トラフの海底に異常な周波数が検知されたと言うんです。

熊本地震発生!!

西塚 僕も、これはあるサイキックから聞いた話ですが、今一番気になってるのは、南海トラフだと言ってました。

ヤス それで、そのへんな周波数は、南海トラフから日向灘までにかけての領域だと言うんですね。だから注意しろと。それから5日後に、熊本地震が起こった。それからまた情報がきて、今度は九州にある自衛隊の基地に関するものだった。九州には自衛隊の基地がこんなにあるんだと。

ちょっと僕も聞いてみたんですね。ちょうど地球号が南海トラフ上にあるので、これと関係があるのかと聞いたら、それはまだわからない。もし自然な地震であったら、これは2カ月かけて本震にいくかもしれないと。ただ人工地震だったら、いつ起こってもおかしくないと。

さらに昨日の深夜にですね、駿河湾の南方で小さな地震があったんですが、この震源には注意しろと。

西塚 東海ですか? すると。

ヤス 東海。

西塚 連続する可能性もありますね。終戦前後に起きた地震みたいに。

ヤス そうですね。だから3地震連動型。東海、南海、東南海、それから関東。

西塚 関東にくるかなあ…

ヤス わからない。こないとしても、東海、南海、東南海、その可能性はあるかもしれない。あと、この地震はP波が検出されてない、これは人工地震なのではないかと、Facebookとかいろいろなところで騒がれてます。ちょっと考えにくいなと思いますが。

西塚 もし、そうなると誰が仕掛けたんだろう。

ヤス タイミングから見ると、無理なこじつけに聞こえるかもしれませんが、安倍首相がロシアを非公式に訪問することを公けにしたんですね。

西塚 ああ、なるほど。

ヤス オバマ大統領のほうからも、やめてくれと。どうしても行かざるを得ないのなら、せめて伊勢志摩サミットが終わってからにしろと、さんざん言われたんだけど、言うことを聞かない。

西塚 それか…

ヤス 今のところ安倍は、ロシアの非公式訪問を撤回していない。

西塚 ヤスさんは、今日は講演会の帰りですね。そのことは、今日の講演会でも話されたのですか?

ヤス それを言おうかなと思って、主催した出版社の社長に、こういうトンデモ系の話ですが話してもいいですか?と聞いたら、ぜひ話して下さいとのことなので、話しました。阿蘇山が噴火して、5分後に講演会がはじまったということもあったので。

僕が見ている有料配信の緊急予報だと、阿蘇山とともに大分県の九重山が大噴火を起こす可能性があると。もし噴火しなかった場合は、今はじまってるのは南海トラフ地震の前段階。それは日向灘方向からいくのではないかと。

西塚 まあ、南海トラフが危ないというのは、みんなが言ってることですが…(高島氏が提示した熊本地震の地震波の資料を見て)P波がないというのは、かんべんしてほしいですね。

ヤス これはK‐NET(国立研究開発法人防災科学技術研究所が運用する強震観測網)による公式データらしいんですけど。

西塚 いずれにしろ、ちょっとタイミングがよすぎますね。

ヤス 今回の安倍のロシアの非公式訪問は、アメリカからさんざん恫喝を食らってたんです。メルマガにも書きましたけどね。それをずっと安倍は無視し続けてた。

西塚 確かにアメリカにしても、それは余計なお世話だし、余計なことを言うなという感じはしますけどね。

ヤス そうなんですけどね(笑)。

西塚 でも、同時に何と言いますか、政治家なんだから、もっとちゃんと交渉しろよと。子どもみたいに意固地になっても、結局国民に被害が出ることになりかねない。

ヤス 今回、次の衆参同時選挙、まあ参院選だけかもしれないけど、次の選挙がどうなるか調査結果が出ましたね。自民党が40議席減で過半数割れ。

西塚 僕もそう思います。惨敗するんじゃないですか。韓国を見てもそうですし。

ヤス 若い人間、僕はネトウヨの人をアテにしてたんじゃないかと思いますが、18歳まで投票年齢を引き下げたことは、これはまったく逆効果なのではないかと思いますね。

自分をさらけ出すタレントたち

西塚 読み違えてるかもしれません。話は変わりますが、この間、ヤスさんから教えてもらったので、『Dark Journalist』を見たんです。そうしたら、リンダ・モールトン・ハウにしても誰にしても、サイトを主宰する自分の立場をちゃんと堅持しながら、もともとよっぽどヘンなのはハナから呼ばないわけですが、彼らがもたらす情報をこれはどういうことなのかと検証していく。あのスタイルはいいと思いました。

ヤス いいですよね。

西塚 根ほり葉ほりいろいろ質問して、その反応を含めてみんなに見てもらうという手法。

ヤス 判断は視聴者にまかせるということですね。

西塚 主宰するほうにも判断があって、これはこういうことなのではないかという。ただ、少なくともゲストに関しては、取捨選択ではないですが、選ばなければいけないでしょう。

ヤス アメリカのそういうゲストを見てると、やっぱり重要になってくるのは客観的な事実。ゲストの主張するエビデンスとなるような、客観的な事象があるかどうかというところに、ある意味でこだわる。リンダ・モールトン・ハウもそうだし、他のゲストもそうです。

このような事象があって、このような根拠があるから、私はこのように解釈するという感じですね。だから日本との大きな違いは、日本の場合は思い込みですよ。神の声とか、上からきたとかね。そういうものがだいたい中心にあるので、そうするとやっぱりビリーバーたちの閉じる共同体化の方向にいく。

たとえば、キャサリン・オ-スティン・フィッツにしても、日本で言えば、国土庁の副長官くらいの人ですよ。

西塚 ちょっと前の扇千景みたいなものですね(笑)。ずいぶん前か。

ヤス そうそう(笑)。そういう人物が、現実で何が起こってるかを暴露すると言って、出てきてるわけで。

西塚 僕は思うんですが、リンダさんにしてもキャサリンさんにしても、あるいは亡くなったビル・クーパーですね、ウィリアム・クーパーさんにしても、どうせ人間はいずれ死んだり、いろいろあるので、自分が得た事実は事実として隠しておけないというような、人類のために言うべきだというですね、使命感に駆られてるように感じるんです。それは傾聴に値するというか、何かしら胸を打つものがありますね。

それは文学的、芸術的という意味ではなくてですね、真実が持ってるある種のインパクトというんですか、そういうものを感じる。ただ、これは検証ができないものも多いので難しいんですが、でも、そういうものを感じることは共通してるんです。

ヤス そういう人たち、キャサリン・オースティン・フィッツもリンダ・モールトン・ハウも、スティーブン・グリアもそうですけど、そういう人たちが立って言い出すとですね、やっぱり内部から、隠蔽する側の人たちの内部告発者たちがバーッと集まってくるんです。彼らの口をとおして、いろいろな事実を公表してもらうという形になってくる。

西塚 そこですね。そういう人たちがワッと立って、自分が矢面に立つ覚悟で出ると、似たような人たちがおっしゃるように出てくる。違う言い方をすれば、この対談でよくテーマになる“渦”みたいなものですね。ひとつ渦ができると、またそういうものが出てくる。

その話につながるかもしれませんが、たとえば前から思ってたんですが、タレントっているじゃないですか? いわゆる普通のお笑いとか、いろんな人がいますね。質が下がった、どうのこうのと言われますが、僕も一応、芸能関係の記事にも関わらせてもらってるので、最近のこともわりとよく知ってるのですが、タレントは才能というくらいで、見てるとですね、やっぱり自分を解放した人たちなんですね、ある種。

ヤス なるほど。

西塚 要するに自分をさらけ出して、たとえば芸人だったら下半身スッポンポンになるくらいな、たけしにしてもそうですよ。(立川)談志にしてもそうだったけど、とにかく裸になれる人なんです。恥部も全部見せられるという。愛人のことも含めてですね、たけしなんかそうでしたけど、実際に大事故に遭ってですね、細川ふみえのことでスキャンダルになって、みんなに叩かれたりもするけれども、でもああして、何と言うか、ある意味、体を張っているという人たちなんですね。

だから、そこで成功していく人たちというのは、やっぱり自分に忠実だったと僕は思うんです。ああ、たけしも終わったなとか、あるいはこのタレントはダメだよと、どうのこうのと言う視聴者は外野であって、言ってみれば2chみたいなものです。野次馬で、後ろから石を投げるタイプという。

そういう構図がテレビにもあるなという気がする。最近になって、たとえば壇蜜という、ヤスさんはご存じないと思いますが…

ヤス ああ、知ってる。壇蜜は知ってる。

西塚 壇蜜だけは知ってるみたいな(笑)。いえ、まあ、彼女はNHKにけっこう出ていて、『高校講座』の「保険体育」という番組でNHKの第2ラジオに出てるんですね。今ちょっと話題になってるんですが、それは性の問題から薬物の問題までやる。あの人もけっこうエロいビデオとかグラビアとか、さんざん前から出ていて、いろいろもてはやされてるんですが、本人はわりと知的な人で、ちなみに英語教師の免状も持っている。

だから、ここにきてテレビのタレントたちが、ある意味社会の鏡みたいになっていてですね、自分たちがどんなにバカにされようが、ものすごくあがいていようが、それをさらけ出して、それこそテレビで全国に映し出されるわけです。それでも、自分を出していく。むしろ自分を出していく流れが、さらに強化されてる気がするんですね。

だから、これからサラリーマンの人たち、僕もサラリーマンだったからわかるんだけども、やっぱり同じ会社に勤めるにしても何にしても、自分は何をやりたいのか、自分は何に向いてるのかということをいろいろとこう、内省したり、追求していくという方向に、ガーッと変わっていっているという気がしてしょうがないんです。それは、さきほどのテレビの芸人たちやタレントたちの姿と、何か合わせ鏡のようになっている。

そのときに、何かの指針とか、ある種の助けになるようなものというのが必要になってきて、それは今まで言ってきたような、いわゆる“お花畑系”のスピリチュアリズムではないことは間違いない。そうではなく、たとえばビリー・マイヤーでもいいですが、そういうことに関して、本気で追求してる人たちが海外にはたくさんいますから、どんどん紹介していきたいと思うんですね。

だから今、実はけっこういい流れだと、僕は個人的には思っています。そのかわり、いろんなノイズも入りやすい。商売上のことも含めて、やろうとしてることは誤解も生みやすいので、ちょっとやっても、お前、それ商売でやってるだろうとか、適当にやってると言われそうなところもあるんだけども、僕は怯まずにやっていこうと思いましたね(笑)。そういうことをものすごく感じる、最近。

ヤス おそらく、僕も同じ感覚を持ってるんですけど、ちょっと今、西塚さんが話したことを僕なりに敷衍すると、こんなことだと思うんですね。

たとえば今、20年くらい前まであった終身雇用制はもうない。年功序列もない。ひとりひとりの社員のパフォーマンスが求められるようなシステムに、民間企業でもどんどん移行している。公務員もそういったシステムに徐々に移行しつつあるという流れなんです。

西塚 公務員もですか?

自己のコンテンツ化の時代

ヤス 公務員もですね。やはりパフォーマンスを問われる。この流れは何かというと、市場原理の導入ですね。市場原理というのは、効率性のあるものが生き残る。価格が安くて、効率がよくて、質が高いものが生き残るわけだし、そういう市場原理に基づく競争原理が、いろんなシステムの中に導入されてくるということです。

そうするとですね、市場原理で勝つためのロジックはふたつしかない。ひとつは価格で勝つということですね。価格って量じゃないですか? 同じクオリティのものでも、こちらのほうが安いというね。その価格競争に勝つか、またはいわゆる質の差別化に成功するかなんです。

その質の差別化は、個人のレベルでいうと個性の商品化です。同じ複製品は存在しないので、自分を全部さらけ出す術を知ってれば知ってるほど、それがある意味でかけがえのない商品になるということですね。

西塚 そうですね。いずれは人間ひとりひとりがコンテンツ化するしかない。そのコンテンツ化する方法、その道が自己実現ということだと思います。そして、自己実現自体が市場として機能していく時代に入ったということですね。

ヤス 坂東玉三郎がいるじゃないですか? 彼がだいぶ前のインタビューでおもしろいことを言ってたんです。何かというと、「あの人ね、演技するからダメなのよ」と。

西塚 ああ…

ヤス え? 演技しないんですか?と聞くと、「そうよ、演技したら全部台無しになる」と。「自分を全部さらけ出さないとダメなのよ」と言うんです。

西塚 あ、(玉三郎の口調に)似てますね(笑)。でも本質ですよね、それは。

ヤス そう。だから、演技をすると臭みが出ると言うんですけどね。

西塚 真似ですからね。

ヤス 今後、どんどん市場原理が導入されるにしたがってね、個人がいかにコンテンツ化するか。個人がコンテンツ化して、それを商品化するような状態になってくる。自分が、いかに自分自身の持っているかけがえのない個性に目覚めるかということね。そういう意味での“目覚め”“覚醒”というのは、ものすごく重要になってくると思いますよ。

西塚 ここにきて、ヤスさんとも40回を超えるお話をさせていただいてますけども、自己実現、核以上のものが自分の内部に偉大な個としてあるということ。それが現実を創っていくのだから、そういう個が互いにネットワークを創りながら、新しい現実をどう創出していくのか。

そのデザイニングの段階まで、まだいってないくらいですからね。まず、そこに気づかなくてはならない。そういうお話だったかと思いますが、それが今ですね、いろいろなところで出てきてるなという気がします。特に今年に入ってから強くしますね。

ヤス なるほど。

西塚
 今回の九州のことに関しても、何と言うか、いろんな意味で気づき、スピ系で言う気づきでもいいんですが、やっぱりちょっとガツンとやられてる感じがあります。僕はですね、いいかげんなことは言えないんだけども、東南海にはまだいかないと思うんです。これはスピ系がかった勘と言われてもしょうがないですが…

ヤス いや、勘であってもいいですよ。

西塚 まだ、いかないという気がします。今後しだいということはありますが…前々回ですね、ヤスさんがおもしろいことをおっしゃっていて、要するに、個を超えたもの側と個側という意味で言うと、最終的には個側の流れだろうとおっしゃってましたが、まだ今はどちらかわからないともおっしゃった。

まったくそのとおりで、でも今くらいからちょっと分かれていく、分かれていくというかですね、どちらかに決まっていくんでしょうけれども、本当にそのボーダーにいるような気がします。

ヤス 確かにそうだと思う。

西塚 スピ系の話になっちゃうと、よく昔あったじゃないですか? アセンションをして人間はふたつに分かれていくとか。あれはちょっと違うと思うんですけども、真っぷたつに分かれていくというのは、ある種の選民思想にもつながるし、排除にもつながる。そうじゃなくて、やっぱり個にその選択が迫られてるんだと思います。お前はじゃあ、どっちの方向でこれからやってくのか?くらいのものですよ。

ヤス そうですね。だからもっと言うと、語弊があるかもしれないけど、いわゆるアセンションってないんですよ

西塚 そうそう。

ヤス それはやっぱりね、スピ系の作り出した一時の文化であって、それはないです。あり得ない。

西塚 そうですね。

ヤス 何か地球の周波数が変わったから、自然とわれわれがアセンションするんだとか、それはない。そういうものではない。言ってみれば、自分がどう生きるか、自己のあり方を決めるのは自分なんですよ。

西塚 そうですね。極端に言えば、周波数はお前が変えろということですね。

“量”か“質”か

ヤス そうそう。どのような自己を目指すのか。または、どのような自己を目指すのかと言ったときに、選択肢がいくつかあるんだけど、その選択肢は歴史的な時代の条件によって、ある意味で限定されてきたりします。

そうすると、ちょっと極端な言い方をすると、19世紀の半ばくらい、それこそ資本主義の勃興期ですよ。農村がどんどん荒廃していくわけですね。農村の中で半ば自給自足的な暮らしをしていた自営農、小作農でもいいんですが、そのような半自給自足的な安定した農村社会がどんどん壊れていく。

何で壊れていくかというと、都市を中心とした工業の勃興ですね。工業というのは膨大な量の労働者を必要とする。また、地主そのものが資本家になったりする。そうすると、今まで土地を貸していた小作農から土地を取り上げる。または自作農の土地を安く買い叩いて、自作農を追い出していく。

その自分が獲得した大きな敷地の中に工場とか作るわけです。そのような社会的な過程がものすごく急速に進んでいく。農村の分解という過程ですね。

そうすると当時の農民というのは、今のわれわれの話で言えば、どのような自己を目指すのかと言ったときには、たとえば都市に出ていって労働者になるのか、それとも資本主義的な経営をした大きな農業会社の労働者になるのか、それとも自ら資本家になるのかという選択肢があって、どこを目指すのかというのは歴史的に決まってくるわけです。

安定した村社会の中で、それこそ農村共同体の中でね、安定して生きるという道そのものがもはやないという状態なんです。ある意味でそれと同じような状態です、今。だから20年前くらいの終身雇用制、年功序列の安定した会社の村社会の中で生きるという選択肢だけはないという。

市場原理の導入によって、あなたは量で競う人間になるのか。量で競うということは、あなた自身の労働力の価値を安くするということです。いわゆる労働力市場の中に入っていって、私を買ってください、これだけ安いですからと。これだけ効率的な仕事をするという売り出し方をして、自分はサバイブしようと思うのか。そうではなく、自分の個性というものを商品化してサバイブしようとするのかですね。

西塚 いわゆるフリーになる人たちというのは、ずっと前からいたわけで、バブル以降はですね、やっぱり量でいったんですよ、みんな。僕はサラリーマンを2、3年前までやっていたから、むしろフリーを使うほうだったんですけども、やっぱり原稿料が1万円よりは8000円のほうがいい、7000円のほうがいいと、会社的にはコストの面でそっちのほうがいいんですね。

僕はそれを決める立場にあったわけですが、やっぱり書いてほしい内容があるわけです。そうすると、いくら高かろうが、この人しか書けないと思ったら、やっぱり頼むわけですよ。でも効率からいうと、限られたコストの中で、やっぱり安いほうがいいという判断になって、そっちをとる編集長なり、あるいは上もいるわけですね。

でも、でき上がったものはどうなのか。どうやって売るのかということも含めてですね、いろんなメカニズムが働くわけですが、僕は普通に考えて、この人に書いてほしいし、なぜならそのテーマが一番この人に合ってると判断した場合に、基本的には事前に計算されたコストは関係ないと思うんです。

だから、今おっしゃったような意味で言えば、それがその人の価値なわけであって、これからはどんどんそれが求められるということですね。

ヤス そうです。だから、それをやるためには、どんどん自分を開いていかなければならない。裸にならなければならないということなんですよ。

西塚 本当にそうだと思いますね。たとえば、そういうことでも、何年も前からわかってたよという人もいるだろうし、僕もそういう感じがありました。でも、ここにきて、世の中がもう、いよいよ本当にそういうふうになってきたという。

だいたい、僕も出版関係にいるからわかるんですけど、ああ、これが売れるぞ、これだぞと思っても、売れないんですね。早すぎてもダメなんです。マスには届かないという。だから、そういう場合はすごく高い値段をつけて、わかる人にしか売らないという手法もあるんですけども、そういった意味では、今いよいよ、そうですね、2010年前後からですね、特にヤスさんみたいな方たちが、ブログなどでガンガン書かれてたようなことが、世の中でいよいよ大きなうねりとして立ち上がってきてるという気がしますね。

“個”を確立した者同士のネットワーク

ヤス だから言ってみれば、個の押し出しに成功した者というのかな、個の差別化に成功した者同士のネットワークというのがあって、その中で需要が生まれるわけです。だから、その人間にしかできないものに特化していくとですね、それなりにちゃんと食えるわけです。

西塚 それは本当におもしろいご指摘だと思います。昔は、それこそバブルがはじける前、高度経済成長以降ずっとだいたい社長同士だった。中小企業の社長たち、みんなそれなりに功成り、名は遂げてないかもしれないけど、それぞれ成功して、お金には問題がないような、一国一城の主の社長たち。大企業はちょっと違うかもしれませんが、彼らのネットワークがあった。

それと同じような形で、本当に個を確立してる人、あるいは確立しつつある人たちのネットワークという、ちょっと違うバージョンに入ってる気がしますね。

ヤス いや、おっしゃるとおりで、社長たちのネットワークは今でもあってね、僕もコンサルタントという立場で雇われてる企業もあるので、その集まりにときどきいくと、何がおもしろいか、何がやりたいかの話です、ずっとね。

いずれにしろ、ひとりひとりが個人事業主となって、自分自身を商品化していく。商品化することによって成り立つ、言い方は語弊があるかもしれませんが、個性を消費しながら続いていくというタイプの資本主義。

西塚 そうですね。それが自分のコンテンツ化という。平たく言えばそういうことだと思います。違った言い方をすれば、自己の実現化でもいいですし。

ヤス たとえば農業なんてね、僕はある意味で先端的な部分だと思う。今、スーパーにいくと、名前を書いて私が作りましたという野菜がたくさんあるじゃないですか。その中でね、おいしい野菜、こいつの作った野菜は好きだというファンが出れば、その人の野菜を買い続けると思うんですね。ずっとね。

たとえば農家と直接契約して、好きな農家からね、その人の作った野菜を仕入れるといったネットワークもどんどん出てきてると。それは農家としての個性化ですよ。

西塚 その場合ヤスさん、どうですかね、たとえばカルトでも何でも同じ構図だと思うんですけど、あ、この人だと思っていく。そういう人が増えれば、つまり信奉者が増えれば、それなりのネットワークが作られるじゃないですか。その個々のネットワークの中身とか、いわゆる質というと、あまりいい言葉じゃないかもしれませんけども、それに関しては何かありますか?

ヤス だからね、何と言うか、絶対に劣化していくようなネットワークの形成の仕方ってあるんですよ。それは、中心と周辺がはっきりと区分けされてしまうことです。グールーとフォロワーに分かれるということなんです。

だから、それはやっちゃいけない。やっちゃいけないというか、それはネットワークとしても、一番尻すぼみになるような方向だと思うんですね。

西塚 死滅する方向というか、腐っていく方向。

ヤス だから今言ったように、たとえばある特定の野菜の生産者、その生産者が作った野菜を食べたい人たち、ファンの集りなわけですね。ファンの集りなんだけど、ファンをひとりひとり見たならば、その人たちもやっぱり別な物ごとの生産者だったりするんです。

たとえば、ギターを作らせたら実にユニークなギターを作ると。こいつにしか作れないギターを作るとかね。あるいは靴の職人がいると、彼らは彼らでファンを持っている。だから、お互いにそれぞれファンを持ってる者同士がですね、お互いにファンになり合うというような関係。

西塚 いや、おっしゃるとおりで、それはある種、理想の社会だと思います。たとえば、学歴もお金もなくて、何だか知らないけれども、肩が凝ったときにあいつに揉んでもらうと本当に気持ちがいいとかですね。あいつはバカなんだけども、肩揉みだけはうまいと。あいつは力だけはあるよねとか、そういうことですね。

ヤス そうです。

西塚 それがちゃんと有機的に、創造的に働き合う社会。

“企業”から“個”へ

ヤス おそらく18世紀に、経済学というモデルができ上がってきたんですけど、その前提になってるのはアダム・スミスですよ。アダム・スミスの『国富論』を見ると、だいたいこれが資本主義のモデルだというのがあるんです。今われわれが話しているようなモデルが、アダム・スミスの念頭にあった資本主義のモデルなんですね。

ひとりひとりがバラバラなんです。マルクスの言葉で言うと、小商品生産者というんですけどね。ひとりひとりがそれぞれの特技を活かして、その人しか作れないものを作ってる。お互いにね。当然、同じものを作る人たちの中では競争がある。

いずれにしろ小商品生産者は、独自のものをバラバラに作ってる人たちが集まっている。そして、お互いにネットワークを組んで商品取引をやるというモデルを中心にして、需要と供給のバランスによっていかに価格が決定されるかということを研究した。

西塚 僕はあまり詳しくないですが、アダム・スミスは後々、曲解されちゃってですね、マーケットの市場原理にまかせておけば、あとは「神の見えざる手」でうまくいくんだよということではないんじゃないか。もともとある種の、簡単に言えば常識みたいなものが働いていて、それが社会の中で共有されてる限りはうまくいく、というような意味だったらしい。それが野放図になっていくと…

ヤス だからね、生産者の主体が大企業になってしまうと全然違うんですよ。それは寡占状態になりますから、市場全体がね。

西塚 ましてや人格がないですからね、企業には。

ヤス 人格がないし、寡占状態になります。いかに市場でシェアを拡大するかというところに競争が移ってくるわけです。シェアの大半を獲得したら、価格の決定権をその単一の企業が持ってしまうことになる。そこで、需要と供給によって価格が決定されるかというと、全然そんなことはない。

西塚 そこで僕は図らずも思うんですが、われわれが今テーマにしてるような、ネットワークとか、人間と人間とのつながり方ということでいうと、やっぱりインターネットがどうしても象徴的に思い浮かぶんですね。それまでは、たとえば日本に代表されるような、要するに中央局があってですね、電話にしても何にしても、まず中央につながらなければ、どこにもつながらないという。

それに、そもそもインターネットの普及は、実は日本がきっかけになってるそうなんです。何か日本がですね、アメリカをガンガン抜きはじめたときですよ。80年代に鉄鋼や自動車、半導体でアメリカをガンガン抜いて脅かした。それで90年に、今度は日本がアナログ回線をすべて光ファイバーにすると世界にぶち上げた。

そこでこの上、日本にやられてはたまらんと、アメリカが通信の主導権を握ろうとして、今まで軍関係とか大学関係の便宜のために使用していたインターネット技術を全部公開した。

インターネットは、亀の甲羅状のような、クモの巣のような配線なので、どこかにつながって、そこのラインが切れても、迂回はするけれども別のルートのラインでまたつながることができる。それまでのシステムは、中央局につながるラインをやられたら、どこにもいけなくなる。

ヤス そうですね。分散型ネットワークというヤツですね。

西塚 それを全部開放したら、こうなった。日本は出遅れたわけですね。でも僕は、どっちがいい悪いではなくて、いろんなことがきっかけになって、それこそ神の見えざる手じゃないですけども、大きな枠では、やっぱりいい方向に向かうのだという気が、もともとするわけです。

そこで、どこかで既得権益を得たりですね、それこそグリーディーになった企業とか個人が、流れを分断してひとり占めしようとした結果、どこかに、何と言うか、腐敗した淀んだ池みたいなものができて、それが巨大になってくると、また地震みたいなものが起きて、自然の力で流すしかないという。そういう気がするんですね。

だから、大きな流れはきっとあって、それがここにきて揺り戻しに入ってきたし、いろいろなジャンル、個人レベルでも、前に石原慎太郎と田中角栄の話も出ましたけれども、いろんなところで自分の個とか自我を超えたところで噴出してきてるという。

たとえば、石原慎太郎はもう歳ですから、オレがオレがというエゴにこだわらなくなった結果、本来の流れのものが、石原慎太郎という個人を通じてエゴのノイズがない形で出てくる。というくらいに僕は思ってるんですが、うまく伝わってるかどうか…そういうニュアンスを感じるんですね。

ヤス だから、何かね、ある意味で社会システムとしては、ひと皮むけつつあるというニュアンスがあります。それはどういう意味かというと、ネットワークを構成する主体となってるわれわれの力が、解放されはじめてきたということです。放っておいても、自分の欲望のまま動いたとしても、それは自分の才覚になってくるわけですね。

あなたの欲望はあなた独自のものでね、たとえばどんな人でも部屋ってあるじゃないですか? 自分の住んでる部屋ね。部屋は自分の欲望の反映ですよ。自分の欲望で購買してきた、集めてきたもので氾濫してるわけです。その人の部屋に入るということは、まさにその人間の欲望の反映した空間に入るわけですね。それは同じものはないわけです。極めて独自のものですね。

ということで、ひとりひとりがですね、自分に内在化している個性といったものに目覚めてきている、ということは間違いないと思うんですね。それが今までは、社会システムとしての個性の鋳型の中に、無理やり理埋め込もうとしてきた。

それがひと皮むけて、別に社会システムに依存しなくてもね、個のひとりひとりの固有性を全開にオープンしても、ちゃんと食えるではないかと。ちゃんとネットワークを組めば、非常に大きな力になるではないかというところに、いろんな人が気づきはじめて、現実的な力になってきたという。

それが、社会システムとしてひと皮むけたという現象なのではないかと思うんです。

西塚 まったくおっしゃるとおりですね。全面的にそのとおりだと思います。

「パナマ文書」の裏にあるアメリカの延命策

ヤス ただね、注意しなくちゃならないのは、それをひとつのリソースとして使いながら、もっと別の方向へ引っ張ろうという…支配層もバカじゃないので、そのようなひと皮むけた差別化の流れ、個性の発散の流れ、そういうものが大きなエネルギー源というのかな、ベクトルとして利用しながら、一番彼らにとって有利な流れを作り上げていくという、操作的な流れがやっぱりあるんですね。

これはパナマ文書にも絡んでくるんだけど、パナマ文書をとおしてアメリカがやろうとしていることは、まさにそれですよ。どういうことかというと、アメリカに外国口座税務コンプライアンス法というのがあるんです。それは、タックスヘイブンは悪いよねということで、海外の銀行に金融資産を保管してるアメリカ人は、アメリカ人としてアメリカ国税庁に全部報告せねばならないと。

同時にですね、海外にある金融機関はアメリカ国税庁に対して、口座の内容を全部オープンにしなくてはならないという法律なんですね。アメリカの国内法なんです。ファトカ(FATCA)というんですけれども、アメリカはその国内法を盾にとってですね、世界のいろんな金融機関に口座を公開しろ!と迫ってくるわけです。

それでもうひとつ、これはメルマガに書いたんですが、OECD(経済協力開発機構)という先進国の国際機関があって、そこがですね、アメリカの外国口座税務コンプライアンス法と似たものを作ろうではなないかということで、国際共通報告基準というものを作った。そこに加盟したすべての国は、金融機関と銀行の口座を透明にせねばならない。誰がどれくらいの資産を持っているか。

それで、お互いの国の金融機関の透明にされた銀行口座を、お互いに透明なデータとしてシェアしようじゃないかというシステムなんですね。だからOECDの共通報告基準という規約に賛同した国は、97カ国あるんですけど、自分の国内の金融機関の情報を全部OECDに対して開示しなくてはならない。そうすると、タックスヘイブンはなかなか成立しがたいと。

ここがミソなんですけど、アメリカはOECDのその基準には署名してないんですね。要するにアメリカは開示しないと。だが、アメリカはFATCAを通じて、他の国々には開示を要求できる。それはどういうことかというと、アメリカが実はタックスヘイブンになるということなんですね。

このベクトルを見るとこういうことなんですよ。アメリカはさんざん海外のタックスヘイブンの情報をリークして責めるわけです。そうすると、ヨーロッパでも何でも、いろんな国々でね、富裕層は何をやってるんだ!税金も払わないで!といって、大きなデモや抗議が起こる。民衆が怒る。社会不安になるわけです。

民衆が怒れば怒るほど、アメリカはFATCA、または共通基準を盾にして、海外のすべての銀行の口座内容を開示しなくちゃダメだとさんざん言うわけですね。叩けば叩くほど海外の富裕層の資金が、唯一のタックスヘイブンであるアメリカに集まってくるという流れなんです。

だから、今僕らが話してることに敷衍すると、自立した個人をひとつの端子として作り上げられるネットワーク、これが活性化すればするほど、それを利用してむしろ支配者側が肥え太るといったような、別のシステム編成ということもものすごくあり得るんですね。それはそれで注意しなくてはならないということです。

西塚 なるほど。それは、かなり高度なお話かと思いますが、まったくおっしゃるとおりですね。簡単に言えば、実際にいい方向にいこうとしていても、そのアンチの力は必ずあるという。そこにどうしてもわれわれは引っ張られるということですね。

ちょっと地震の話に戻ると、今もこうしてテレビを流してますけど、本当に予断を許さないと言いますか、緊張感がありますね。

ヤス ちょっと語弊があるかもしれませんが、もし人工地震という概念が成り立てばという前提の話ですが、僕はこれを信じるわけではないですし、信じてないわけでもない。保留なんですね。ただオープンにしてる。

阪神淡路大震災までは、人工地震の記事は新聞でも普通に載ってたんですよ。簡単に言うと、断層に爆弾を埋め込んで爆発させるというものですが…

安倍のロシア訪問と人工地震の可能性

西塚 地質学的な研究も含めてですね。

ヤス 研究も含めて。だから人工地震は実際にあり得ることは間違いがない。しかしながら、兵器として人工地震が使われてるかどうかは、どこまで実証可能かちょっと疑問符がつくので、保留にしておきます。ただ、今回の地震が人工地震である可能性は、100%否定はしないほうがいいと思うんです。と言って、信じ込んでもならないんですけどね。

僕は今回、ちょっとある情報を追っていて、さきほどもちょっと言いましたが、それは安倍さんのロシアの非公式訪問なんです。これは、日本で報道されるずっと前に、ロシアのメディアでさんざん報道されてたんですね。どうも安倍首相は非公式訪問をする意図があるらしいと。それでロシア側が、安倍首相を迎えるためにどういう準備をしてるかまで、どんどん報道されてたんです。

それに対して、アメリカ政府はかなり警戒してる。それで警告を出してくる。どういう形で警告を出してくるかというと、行くなとも言うんですが、それ以外にですね、いろいろ外堀を埋めるような警告の出し方をするんです。

ひとつは国連人権理事会ってありますね。この国連人権理事会から、かなり強烈な日本非難決議みたいなものが出てきた。いわゆる、女子高生ビジネスをやってるだろうと。あれは売春にあたらないのかと。それから幼児のポルノを普通に販売してるだろうと。それは人権侵害にあたらないのかということで、日本をやり玉にあげた決議がやたらと出たんですね、今回。ちょっと不自然な感じだった。

西塚 バッシングですね。

ヤス それだけで終わるならいいんですけど、アメリカ政府が外堀を埋めてくる場合、いろんな方向からいくんですよ。そうしたらワシントン・ポストに社説が載った。ワシントン・ポストの社説というのは、現在の政権の意見なんです、間違いなく。

それは何かというと、安倍はやりすぎであると。安倍政権はマスコミをコントロールしようとしている。あれは民主主義ではないと言って、安倍をかなり厳しく批判する内容だったんですね。

そうして見てるとね、国連人権委員会とワシントン・ポストの社説は、お互いに連関はないんだけれども、流れとしては安倍政権を批判するという流れですね。ちょうどそれが起こってるときに、安倍首相とオバマ大統領が電話会談を行なった。

そこでオバマ大統領は、行ってくれるなと、ロシアに。どうしても行きたいなら、伊勢志摩サミットの後にしてほしいと。それに対して安倍首相は拒否した。いや、私は行かなくてはならない重要な案件があるんだと。

それ以降も、ロシアに行くことを取り止める気配が全然ない。そうすると、今回がもし人工地震だとしたら、やっぱりそれに対するものすごく大きな牽制ですね。

西塚 僕もですね、ひとつのストーリーとして、いろいろな仮説があっていいと思うんですけど、人工地震だという仮説でちょっと言うと、僕はオバマはもともと、いろいろな意味である種の星として出てきたわけですが、途中で負けたんでしょう、敵対勢力にやられちゃったんだと思います、僕に言わせると。

それで、今回のロシアに行ってくれるなという背景には、どうしても抑えられない連中が、それをやると日本にヘンなことをするかもしれないから、やめとけと。まあ、そう言ったと仮定して、それを安倍が拒否したとなると、これはどういうことがあり得ると思いますか?

そういうオバマの意図を汲み取れなかったのか、要するに人工地震も辞さないぐらいの強硬な連中がいて、やられちゃうかもしれないということがわからなかったのか、わかってても、あえてオレはやるということなのか、そのへんどう思われますか? 安倍政権の態度を仮定すると。

ヤス おそらくわかってない。

西塚 ブレーンもわかってない。

ヤス パナマ文書にしてもね、日本の錚々たるジャーナリストたちがパナマ文書について書いてるじゃないですか? ICIJという組織がね、どこからお金をもらって、どういう組織かということを書いてるのは誰もいないわけですよ。

単純に、パナマ文書から超富裕層の情報が漏れた、これは大変なことになるぞとしか書かない。官邸側もそのくらいのインテリジェンスだとしたら、これはヤバいですよ、本当に。

西塚 それですが、高城さんがですね、メルマガでパナマ文書のことを書いてから、取材の依頼が殺到したらしいんです。そして、どうやらマスコミの人たちは事態がよくわかってないらしいと。そもそもパナマとバージン諸島の関係も知らないようだ。それで、取材はすべてお断りしたと。

どうせまともに答えたとしても、これは僕の妄想ですがと断っていましたが(笑)、何か政府とか、芸能界の超大物が絡んでたりすると、なかったことになるのは見え見えなので、僕はいっさい答えなかったと。そういうことを書いていた。

僕はそこで、なるほどなと思いましたけどね。いろいろ日本のマスコミの中には優秀な人もいるだろうけども、高城さんはあまり信用していないらしく、またヘラヘラ答える人でもないんだなということがよくわかりました。

何が言いたいかというと、やはりそれくらいマスコミは本当にあの事態がわかってないようなんです。

ヤス やっぱり、今の官邸、政府系の人たちの書いたものを読むと、思い込みの塊りですね。客観的に物ごとを分析するという能力がない、というとヘンかもしれないけど、客観的に物ごとを分析するというベクトルがない人たちが圧倒的に多いですね。

ワーッと凝り固まってるという感じですね、本当にね。だから、ある優秀な中国の通訳が、日本の場合は、上にいけばいくほどバカになりますと言ってたけども、本当にそのとおりだと思う。ヤバいですよ、本当に。

西塚 だからさきほどの話で、個人がコンテンツ化していくとなればですね、やっぱり自分というものに立ち返らざるを得ないし、それぞれがみんなどこかで考えなければならないと思うんです。

そうじゃないと、もったいないというか、いろいろと楽しみたいわけですね。僕は、どちらかと言えば貪欲で、いろんな連中と楽しんで(笑)、おもしろおかしいことをやりたいというのがあるので…

ヤス おもしろおかしいことやってた(笑)、知ってる。

西塚 いやいや、というか、これからもですね…

ヤス え、これからも?(笑)

西塚 というほうなので、そっちのほうが楽しいだろうと、根底にあるだけなんですね。だからもっと、たとえばですね、だんだん酔っぱらってきたからアレですけど、子どものときに、すごくおもしろく遊んでるのに、誰それが、いやあ、もう、お母さんが呼んでるから帰るとか、もう、ご飯に間に合わないから帰るとか、塾があるから帰るとか、だんだんこうシラケていくわけですね。あの感じがイヤだという、その感覚に近いかなあ。

ヤス なるほどね。

西塚 いいじゃん、だって楽しいんだから、もっと遊んで、後で怒られてもいいじゃんと言って、怒られたらじゃあ明日、怒られた話しようよみたいな感じでいいくらいなのに、何か要するにプレッシャーがあるから、それに自分を従わせるわけですね。そう考えると、ほとんど小学生と変わってないということになりますが…

ヤス これに従ってさえいられるなら、自分はやっぱり安全であるという世界ですね。その安全な世界というものを自分は侵すわけにはいかない。そのリスクはすごく大きいと。

アメリカと中ロの共犯関係

西塚 となると、どうでしょうか、今後、今は2016年も4月ですよね。もう3分の1が過ぎていくわけなんですけども、今後まあ、1年で区切ってもしょうがないんだけども、一応サイクルにはなってますから、今後、あと3分の2ありますが、ヤスさんはどんな感じに、世界と日本はなっていくと思われますか?

ヤス パナマ文書に戻りますけど、パナマ文書は象徴的でね、これはメルマガには書いたんですけど、言ってみればアメリカの覇権とドルの延命策ですよ。世界の超富裕層からタックスヘイブンに集められたお金は、21兆ドルですから、2400兆円ですね。日本の国家予算の25倍ほどあるわけです。そのくらいのお金って、世界経済を動かすことが可能なんですね。

どういうことかというと、21兆ドルでしょ? 日経の全株価の時価総額が確か3.5兆なんですよ。ニューヨーク証券取引所の時価総額が16.7兆ドルでしょ? 全世界のGDPを全部合わせても45兆ドルなんですね。

西塚 5000兆円くらいですね。

ヤス そうするとね、21兆ドルっていかに巨大かなんですよ。この21兆ドルが、今回のパナマ文書のリークをひとつの出発点として、アメリカに還流していくわけです。ワーッとね。そうすると、国際的な資金の循環の流れが変わりますよ。むしろアメリカ中心に、また流れてくるってことになりますね。

どういう流れかというと、ドル高、ニューヨーク・ダウの株高という状態で、アメリカは自らのドル覇権を強める。アメリカがタックスヘイブン化しながら、世界の資金の重要な部分を全部アメリカ中心に集めてね、アメリカを中心にして再投資を行なうという。ある意味、世界経済の調整役の位置をもう一回取り入れるという動きにシフトしていく可能性がありますね。

西塚 そのときに、バーサスとして、たとえばAIIBとかですね、ユーラシア同盟とか、そのへんに関して、中ロは何もないんでしょうか?

ヤス 中ロの動きを見てると、何でここまで報道しないのかというくらい日本では報道されてないんですけど、ものすごく独自な動きをしています。

AIIBをひとつの骨子にしながら、現在ですね、ロシアが立ち上げたユーラシア同盟というのがありますね、ロシアとベラルーシとか、キルギスとか、いくつかの国が集まった関税同盟なんですけど、それと中国の一帯一路が一体化しつつある。それにイランが加わる。

それで中央アジアに、特に中国の力を中心にして今、一大経済圏ができつつありますね。その一大経済圏を結ぶのが、一帯一路の重要な部分になってる鉄道網です。

今回、非常に大きな象徴的な出来事があった。それは2月なんですけど、西安からテヘランまで鉄道が通ったんですね。それはすごく大きなことです。そうすると、中央アジア全域が鉄道網で結ばれて、中央アジアにひとつ、今までになかったような新たな経済圏ができ上がってくる。これは中ロ経済圏ですね。

おそらく、その決済通貨は、限りなく元になる可能性が高い。今の動きを見てると、アメリカのほうはそれを抑えようとは思っていない。思ってないというか、抑えられるとも思ってないんですね。そうではなくて、一緒に自分が乗ることによって、おいしい汁は一緒に共有しようという流れなんですよ。

西塚 じゃあ今までの欧米、特にイギリスとアメリカを中心とした金融資本関係をもう一回自分たちに戻しながら、中ロとも連携というか、うまくやっていくってことなんですか?

ヤス うまくやってくってことなんです。中国を中心とした中央アジア経済圏ですね。ユーラシ経済圏、これは彼らにまかせてもいいと。その資金源になってるのはAIIBなんですけども、そのAIIBのプロジェクトに、実はアメリカの国家機関であるような世界銀行が出資するんですね(笑)。お互いに、やっぱり共同プロジェクトとして立ち上げようという方向にもう動いてる。

西塚 そうなると、たとえばこの間、バルト海でロシアの戦闘機がアメリカのイージス艦にちょっかいを出したのは、あれはどういうことなんでしょうか? あれは別問題なのかな。北朝鮮絡みですかね。

ヤス いや、僕はまだよく調べてないんですけれども、問題はアメリカの戦艦が具体的に何をやってたかなんです。

西塚 何か、ロシアの気に食わないことをやってたんですかね(笑)。

ヤス 何かやった(笑)。日本では報道が一方的で、これだけ接近したぞ!としか報道されないわけです。じゃあ、接近された艦船は何をやってたのか、報道されないんですね。ちょっと、それは見なければダメだと思いますね。

いずれにしろ、新しいユーラシア経済圏の決済通貨は人民元になってくると思います。今回、もうひとつ大きな発展があったのは、金の価格はだいたいドル建てで決定されてたんですが、中国が人民元建てにすると言い出した。これはまさに、金を人民元の最終的な保証としてリンクするということ。それで人民元の信頼度を高めながら、ユーラシア経済圏の基軸通貨にしていくという流れではないかと思いますね。

アメリカはそれを叩き潰すとか敵対するのではなくて、一緒に参画することによっておいしい汁を吸う。言ってみれば、パナマ文書の影響でタックスヘイブンが世界で潰れますからね。そのお金がどんどんアメリカを中心に回ってくる。じゃあ、アメリカはどこに投資するかと言えば、ヘタすればAIIBに投資するかもしれないんですよ(笑)。

西塚 そうなると、新たに人民元と金をリンクさせた、言ってみれば、金=元=ドル体制となって、ある意味ニクソン・ショック以来の変革が起きるかもしれませんね。

ヤス いや、すごく変わってきますね、そういう意味では。だから今回のパナマ文書のリークというのは、簡単に基軸通貨のドルを放棄するわけではないと。簡単にアメリカ経済の覇権を放棄するわけではないんだけど、自分たちの覇権をこれまでどおりには維持できないことも百も承知であると。

それで、自分たちがちゃんとサバイブできるような安全圏を確保した上で、どのようなシステムが一番便利なのかということをちゃんと描いて、持っているということだと思いますよ。

西塚 なるほど。すでに絵を描いてるわけですね。

ヤス 絵を描いてる。

西塚 わかりました。ちょうど時間もきましたので終わりたいと思いますが、最近はいろいろなことが起きるので、来週の今ごろもどうなってるかわかりませんね。経済のことも地震のことも、スピリチュアル的なことも含めてですが、また注視していきたいと思います。来週もよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。

ヤス いえいえ、こちらこそ、ありがとうございます。

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