だるまさんこちら向かんせ世の中は月雪花に酒と三味線…とまあ、こういきたいものです。

きたときよりも美しく

今日は暑かった。
何でも 7 月中旬の陽気だとか。

ここ数日、夢のように過ぎた。
ちょっと前に、そぼ降る雨の中のチンドン屋の話を書いたと思うが、あれは前回だったかな、ともかくそんなことがあってすぐに知人からライブの誘いがあり、行くことになったわけだが、それはインドの楽器タブラ・バーヤとギター、そして何とチンドン屋とのジョイントライブだったのだ…

ライブがはねてその場で宴会がはじまったが、私は酔っぱらってチンドン屋のアルトサックスとタブラの掛け合いに何とも陶然としたという話を延々としていた気がする。

タブラの奏者はインドのバラモンの出らしいが、隣りであぐらをかいて飲んでる私にいろいろと話をしてくれた中にうつ病の話があって、何でも医者にこのクスリを飲み続けないと死んでしまうと言われた「 うつ病 」の人がいて、その人は死にたくないから毎食後に手の平いっぱいのクスリを飲み続けていた。

それを見たインド人の彼がそのクスリをゴミ箱に捨てて、死ぬかどうか見てみましょうと言うと、その「 うつ病 」の人はあわてふためいたが、結局翌朝になっても死ななかった。

してみると、その医者はウソを言ったことになり( 死ななかったわけだから )、じゃあ今度は私の言うことを聞きなさいとインド人の彼が「 うつ病 」の人に言って、あなたは体に酸素が足りてないから脳にも酸素がいかないとして、野菜その他食事の話をし、インド人の彼はヨガの先生でもあるので、私は詳しくないがたぶんアーユルヴェーダ的な何かを施したのだろう。

その人はすぐに「 うつ病 」ではなくなった。

みたいな話だったが、カタコトの日本語だったし、ディテールにも食い違いがあるかもしれないが、おおよそそんな内容だ。

その他、この世界はどこまでいっても「 destroy 」と「 create 」と「 save 」の 3 つしかないという話や、「 日本に行け! 」とヴィシュヌ神に断固として言われた話など、なかなか興味深い話があったが、今度取材させてもらいたいってなことを彼に言った気がする。

そうなれば、何かしらまた発信しようかと。

よせばいいのに、場所が国立だったのと、チンドン屋のドンドンチンシャラパッパラパーにやられたのか、久しぶりにうなぎの串でも食おうかとトボトボ向かったが(滝田ゆうの漫画でもおなじみのあの有名店)、気が変わって並びのモツ屋のカウンターで一杯やり、隣りのふたり連れの美熟女( って怒られるかな )とちょっとだけ話した気がするが、すでに酔っぱらってる私が自分で何を言ったか覚えてるはずもない。

家に帰ってさらに飲み続け( たらしい )、気がついたら朝だった。

次の日は「 国立奥多摩美術館 」に行くことになっていたので、そぼ降る冷たい雨の中、中央線に乗って青梅へ。

青梅で単線の青梅線に乗り換えるのだが、鄙びた駅のフォームに降りるとすでに目の前に山が迫り、青梅線の乗り換えはどこだろうと小雨のフォームでキョロキョロしていると雨を避けて屋根の下に立ってる制服姿のおじさんが。

何だか見慣れない制服のような気がしたから、これは本当に JR の制服なのか、ひょっとして防衛大の先生なんじゃないかと帽子やら制服をガン見しながら近づいて、青梅線に乗り換えるにはどうしたらいいのかと聞くと、映画『 どですかでん 』に出てくる伴淳三郎のような話し方で青梅線のどの駅に行くのかと聞くので、軍畑( いくさばた )だと言うと、なら、今来るからこのままここで待てとまた『 どですかでん 』の伴淳の話し方で言う。

ああ、ここでいいのかとお礼を言って、二日酔いの頭を潤そうと自販機のほうへ向かうと、この寒い中、ワンピース姿の 60 絡みのおばちゃんが傍らにいろいろ入った紙袋を置いたまま突っ立っており、何やら大声でわめいている。

何だ?何だ?何だ?とおばちゃんの顔をガン見しながら自販機に近づいていくと、おばちゃんは犬が吠えかかるように私に向かってわめき出した。

でも、何を言ってるのかまったくわからない。マジで言語明瞭意味不明なのだ。

だから私としても答えようがなく、しかたがないので水をボトンと買いながら、またおばちゃんをガン見すると、さっきよりいっそう私に吠えかかってくる。

何を言ってるのかさっぱりわからないが、フォームに入ってきた青梅線に乗り込む私の背中越しに、物語がはじまるぅ!!物語がはじまるんだよッッ!!!と浴びせているのだけはわかった。

青梅線に揺られながら窓ごしに外を見やると、道路が走ってる側はまだ視界が開け、向こうに連なる山並みと手前の家々が見えるが、反対側はすぐ目の前が鬱蒼とした山の斜面であり、どのくらいの山なのかわからない。

私は自宅から1時間ちょっとでこんな筒井康隆の「 熊ノ木本線 」のような線があるのかと訝しみ、自分はこのままどこかの部落に連れてかれて、部落の宴会芸のしきたりを知らないばっかりに小説の世界さながら、「 世界 」を崩壊させてしまうのではないかとふと思った…

何とか無事に国立奥多摩美術館にたどり着いたが、結論から言うと、私はこれからの日本のあり方のひとつがここにあると思った。

今後は日本の地方のあちこちに、こうした「 形態場 」が創出されていくのだろうなと確信した。

すでにそういうところはたくさんあるよと言われるかもしれないが、関わってる「 人 」の「 タイプ 」がおそらく違うのである。

ちなみに国立奥多摩美術館ったって、もちろんと言うのもヘンだが、国立なんかじゃない。

酒を飲みながら館長と話したが( 私だけが飲んだ )、取材の OK をもらったので今度インタビューして YouTube にアップしようかとも思うが、先方はおそらく私の「 やってること 」を知らないだろうし、後からやっぱりちょっとぉ…となるかもしれないが、まあ、なりゆきで。

それにしても今回のイベントでは最初、入場者はまず強制的に暗闇の中で館長の「 歌 」( 私はポエトリー・リーディングだと思うのだが )を聞かされるが、その歌詞の中で「きたときよりも美しくぅ~!」と連呼されたときは、正直びっくりした……。

でも、また行きたいと思う。

国立奥多摩美術館

そして昨日、宗任さんとの収録を終えて立ち飲み屋で一杯やっているとある書籍のヒラメキがやってきて、さらに今日、私の武術の先生との会話において、やはりやはりある結論を想定せざるを得ないことを確認することとなった。

本当はそのことを前回に続けて「 言葉の力 2 」として書くつもりだったのだが、つい日記ふうに流れたというわけだ。

まあ、「 流れ 」ってのはあるからね。

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