だるまさんこちら向かんせ世の中は月雪花に酒と三味線…とまあ、こういきたいものです。

安倍元首相銃撃事件

昨日、安倍元首相が銃撃され、亡くなった。

規模や程度は人によって異なるのは当たり前だが、個人的には、911 や 311 のときと同じような、陰鬱というか、暗澹たるものをうっすらと感じた。

そして、SNS、特にツイッターの情報を見るわけだが、311 のときもそうだが、こういうときはやはりツイッターの情報が一番早い。

なんせ、現場にいる人が瞬時に状況説明や映像の情報をアップできるからだ。

その証拠に、ずいぶん前から地上波のニュースでさえ、「視聴者撮影」などとして、許可を取ったかどうかわからないが、ツイッターの映像を使っているくらいだ。

そして、昨日から案の定、いろいろなデマというか、個人的な思い込みによる「物語」が拡散されている。

私はそもそも、いわゆるスピ系の情報を発信しているということもあり、自分が発する情報にはそれなりに気を遣い、自分なりに検証して、たとえ反論があったとしても、それに応えられるくらいの材料というか、少なくともまともな議論が成り立つレベルの確証がなければ、発信しないことにしている。

一応、マスコミに所属していたし、今でも超弱小とはいえ、公刊本を扱っている会社を運営している以上、それは当然のことだろう。

じゃなきゃ、読んだり聴いたりしてもらっている読者や視聴者に対しても、顔向けができないというとカッコつけすぎかもしれないが、それは義務だと思っている。

昨日から今日にかけて、ツイッターでは、安倍元首相銃撃に関する情報じゃないな、憶測?がはびこり、まことしやかな「物語」がいくつかでき上がっているようなので、ひと言申し上げたくなったわけだ。

そのいちいちにコメントするのは控えるが、というのはもっと検証しなければわからないことが多いからだが、いくつかのあまりにもひどいというか、あえて言えば、幼稚すぎる妄想に対してはコメントしておきたい。

本当にバカバカしいのだが、一つは、取り押さえられた銃撃犯人と、スマホでその現場を撮影しようと駆け寄る野次馬を混同し、「ヤラセ」の芝居であるとか、犯人の服装が違うなどと言って、「まだテレビの報道を信じるのか」的なことを喧伝する人々に対してである。

あろうことか、その中の一つでは、ただの野次馬がスマホを持った手を突き出している動画をアップし、「(銃じゃなくて:西塚註)スマホじゃないかよ」みたいなことを呟いているものがあったが、あきれてしまった。

もう一つは、犯人が取り押さえられている現場写真の左隅に、足も露わに引っくり返っている女子学生らしき女性が写っているのを見て、おかしいとか、ヘンだとして、何やら妙な妄想を膨らませているものだ。

少なくともこの二つに関して言えば、ほかの映像を参照すれば、何が起きているのかすぐわかることなのである。

ツイッターにある銃撃現場の映像は、どこかの高い建物から撮影しているものや、別の場所から撮影されているものなど、複数ある。

ヤラセ芝居のリハーサルだとか、銃じゃなくてスマホじゃねーか的な妄想の根拠となる映像は、高い建物から俯瞰している映像を見れば、ただの野次馬がスマホで撮影しようとしているところを、関係者にやんわりと諫められているシーンであることがわかる。

また、引っくり返っている女子学生らしき女性の写真は、動画を見れば、二度目の銃声に驚いた制服姿の女子学生が、そばにいたスーツ姿の関係者?に危ないから下がってろ的に手で押しやられたはずみで、文字通り引っくり返ったシーンであることがわかる。

そのあと、スーツ姿の関係者?が、引っくり返った女子学生をあわてて抱え起こしている姿がはっきりと映っている。

つまり、俯瞰した映像やほかの映像をいくつか見れば、すぐわかることなのだが、空間的にも時間的にも、映像の一部だけを切り取って、自分の妄想といってわるければ、憶測、思い込みでもいいが、一部の映像をすでにあるストーリーにあてはめているだけのことなのである。

そしておそろしいことに、同じような妄想といってわるければ、憶測、思い込みでもいいが、それが発信され、同じような妄想といってわるければ…しつこいな、とにかく同じ志向・嗜好・思考を持つものたちによって拡散されていくのだ。

そのほか、安倍元首相の血糊疑惑やもろもろの憶測に関してもコメントしたいことがあるが、やめておく。

とにかく、えらそうに聞こえたら申し訳ないとは思うが、これくらいの検証もできなくて、あまり大きな陰謀論はぶたないほうがいいと思う。

みっともないというより、人によっては、せっかく築いてきた信用を失うことにもなりかねない。

たとえば、8 割 9 割正しいことを伝えてきた人がいたとする。

しかし、たった 1 割 2 割の大ボケをかましたせいで、それまでのすべての有意義な情報が疑われるハメになるかもしれないのだ。

だから、逆に言えば、たとえ何かの大事件に対するコメントが大ボケだったとしても、人には誰でも判断ミスはあるのだから、それはそれとして受け入れ、それまでのその人の実績は実績として正当に認めてあげるべきだろう。

それにしても……ということで、先にあげた二つの例などは、あまりにもお粗末だし、そんなヨタ話を堂々とアップすることの恥ずかしさを自覚することと、たとえば言論関係に携わるプロであれば、またこう言ってはなんだが、シロウトさんの妄想にみすみす引っかかるようなマネはしてほしくないと思うわけだ。

それでなくてもスピ系ときた日にゃあ、ヘタすりゃ検証すら不可能というか、かなり難しい案件のオンパレードであり、それでも検証できないことはないので、まあ、探究する人は探究するわけだが、せめて普通に複数の映像が検証できる案件に関しては、もう少しまともな解釈ができるはずだろう。

ガラにもなく何やら苦言を呈する形になったが、還暦を過ぎたオヤジなら、これくらいは言ってもいいだろう。

昔なら、町のご隠居の年だ。

あと、ついでに言えば、陰謀論や都市伝説、オカルト、スピ系を扱っている人々の中で、自分の思考は論理的であり、科学的であり、現実的であり、決してお花畑ではないと自負する人ほど、実はフェイク映像に簡単に騙されたり、映像を絡めた「物語」にヤラレやすい。

彼らの根底には「恐怖」がある。

いや、誰にでも恐怖や不安はあるが、自分でも気づかないところで、あまりにも恐怖感や不安感が強いと、同じ恐怖や不安を誰かと共有したいという欲望を生み、むしろ恐怖や不安を現実化させる方向へと思考が無意識に誘導されていくのである。

これはなかなかというか、かなりやっかいな問題であり、それを誘導するのは何かということになるが、その話は今日のテーマではない。

つまるところ、その恐怖や不安を喜びに変えていくといったような、同じ志向を持つ人たちといろいろと情報を共有したり、検証したりして、一つひとつの現象を受けとめていけば、騙されたり、ヤラレたりする可能性は低くなるだろうということだ。

先の陰謀論や都市伝説、オカルト、スピ系を扱っている人々という中で、いわゆるお花畑系の人たちはというと、極端な例で言えば、安倍元首相銃撃事件すら存在しない世界で生きていくということになる。

実際、それは財津一郎ばりに「その通り!」と言うこともできるところが、まあ、スピ系のスピ系たるゆえんでもあるのだが、それでもどうしてそうなのか?ということは、もっと議論されてもいいんじゃないでしょうかとは、ちょっと言いたいなと。

 

 

今、『盤』に出演してもらっている鶴ちゃんに、この HP のリニューアルというと大げさだが、もっと見やすく整理してもらってるところで、なんとなく記事のアップも消極的になっているというか、それはただの言い訳だが、YouTube のコンテンツや本業の書籍や雑誌のことでも、今までよりちゃんと分けて、わかりやすく発信できると思うので、今後もどうぞよろしく!

Commentコメント

  1. たきこ より:

    令和の惨劇でした!
    まだ真相が掴めない間のテレビニュースではハッキリした映像も流せなく、ましてや大政治家が襲撃されたとあっては「ナニ?ナニ?」と言う方が大半の報道でしたね。
    犯人が(容疑者と言うには確たる容疑の)捕まり動機などを尋問していけば、いかんせん、やはり特定宗教への怨恨というスピリチュアルとお金がらみでした。

    駅前での応援演説が安倍さんなら一目見に行く気持ち、誰でもありますよね。
    そんな人が演説を映していた衝撃の瞬間の映像をネットで見ました。
    安倍さんは一発目で、え?という感じで振向きそして二発目。
    縁台から自力で降りてから倒れられた姿はドラマチックではないものの真実の姿でした。
    お気の毒でなりません。

    花占い程度のソフトなスピリチュアルならば、心の拠り所となり得る事があるかもしれませんが、田地田畑家屋敷を全て捧げてまで宗教にのめり込む心理。
    こうなるとありがたや詐欺としか思えない。
    豊田商事の詐欺事件
    オウム真理教の宗教事件
    この世は騙し騙されて成り立っているのか?
    人の心のタネあかしは難しいですが誰しも幸せになりたいと願う気持ちはあるもの。
    犯人のお母さんも幸せを願って宗教を信じたのでしょう。
    純粋な気持ちを上手く操る輩がウハウハとして信者をATMにしてしまったんですねえ。
    銃撃事件こそないものの、信仰とお金がらみのトラブルはこの世に深く広く蔓延る。
    おりしもお盆。
    お坊さんが家にきてお経をあげるのも、ま、そんなところとさほど変わらないような。

    そして久々にテレビに怪しの番組が戻ってきますね。
    伝説の宜保愛子さんもリバイバル特番されます。
    こうして時代は怪しいスピリチュアルを求めていくのですかねえ。

    お暑さのさなか、どうぞお身体おいといくださいませ。

    • nishi より:

      たきこ様
       

      ポストありがとうございます。

       
      >令和の惨劇でした!

       
      まさにそうですね。
      おそらく、事態は想像以上に深刻かと思います。
      安倍さんの存在は今後の外交上でも重要なものでしたが、これでちょっと風向きが変わったことは否めないと思います。

       
      >安倍さんは一発目で、え?という感じで振向きそして二発目。縁台から自力で降りてから倒れられた姿はドラマチックではないものの真実の姿でした。お気の毒でなりません。

       
      その通りかと思います。

       
      >そして久々にテレビに怪しの番組が戻ってきますね。伝説の宜保愛子さんもリバイバル特番されます。こうして時代は怪しいスピリチュアルを求めていくのですかねえ。

       
      特番の件は知りませんでしたが、調べたら、テレ東でこの水曜に放映するんですね。昨年も宜保さんの特集をやってるようです。テレ東は、宜保さんに関するる自社独自の映像を持っているんじゃないかな。

      今、YouTubeでは怪談ブーム全盛期を迎えてますので、テレ東も便乗して、自粛していた映像をお蔵出しするということでしょうかねえ。だとしたら、出演者はもっと凝ればいいのに(笑)。

      スピリチュアルを求める人はいつの時代にもいますが、そろそろいろいろと見定める時期ではないでしょうか。

       
      西塚

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