だるまさんこちら向かんせ世の中は月雪花に酒と三味線…とまあ、こういきたいものです。

シャイニング?

♪月ヨープル、火ヨープル、水ヨープル、木ヨープル、ヨープルヨープルヨープルヨープル、わったーしヨープルキチガイよ!♪ってCMソング覚えている人は絶対 60 年代かそれ以前の生まれの人です。ヨープルってのは今で言うところの飲むヨーグルトみたいなもんだ。ガキのころはやった。最後のキチガイよ!というところが歌いたくてみんな歌ってた。が、ある日消えた。そりゃそうだわな。

月曜一日会社へ行って、火曜日夜更けに九連宝燈、水曜ひと晩小説書いて、木曜 3 時の四間飛車、金曜、日暮れに庭木をいじり、土曜日たそがれ馬券の吹雪、日曜朝から愛妻家、月々火水木金々、酒を呑みますサケなくて、何で己れが桜かな。

ってのもあったが、あれは山口瞳『酒呑みの自己弁護』の帯にあったコピーだ。高校のころ私はこの本をバイブルのようにしていて、酒呑みのウンチクを粋がって話してた。そのひとつに二日酔いの話があって、升田幸三だか井伏鱒二だかもう忘れたが、二日酔いのときはどうするかって聞かれて、ぬるい風呂に浸かってだんだんと熱くしていく、すると酒が抜けていくと。センセイ、その後どうすんですか?と聞くと、なんでこいつはそんなことを聞くんだ?というような顔をして、また飲むんだよ、と答えた。

シビレたね。

いや、すみません。なんだかんだ飲んでばっかりいたら、こんな時間が経ってしまった。毎回毎回飽きもせずよく同じことばっかり言えるなと自分でもほとほと愛想が尽きる。馬鹿は死ななきゃ治らないって言うが、ホントだね。でも、毎日毎日同じこと言うカミさんも気の毒っちゃあ気の毒だ。昨晩なんか、小学生のころの娘が夢に出てきて、お父さんホントはもう長くないんでしょ、と涙ぐんでたもんな。さすがの私もほろっときて、誰がそんなこと言ってんだ? 大丈夫だよ、と抱きしめるんだからどんな安手のドラマだ。

でも夢から覚めてからふと思い出したのは、先日の夜、部屋で本読んでたら居間からカミさんと娘の話し声がとぎれとぎれに聞こえてきて、娘が、お父さんが死んだら家のローンはなくなるんでしょ、と言ったのだ。なんだあ、あいつら何たくらんでんだあとマヌケな顔して私は大人っぽくひとり苦笑して見せたが、待てよ、と思い、後日、私とカミさんとカミさんの親しい友人(女性)と酒を飲んでるとき、その友人に、俺は主義と言うかポリシーというか趣味というか、とにかく自殺というのは絶対にしないから、もし俺が突然死んだら、それはおそらく他殺だろうから、よろしく、とくに◯◯(カミさんの名)をまず疑ってくれ、と頼んだのだが、その友人は、んーと 3 秒くらい考えてから、そんときはたとえ真実はどうであれ、私は◯◯ちゃん(カミさんの名)の味方になるしかないわねえ、とすまなそうに言った。

私は家に帰ってから、こりゃダメだと思い、カミさんに、◯◯ちゃん(先のカミさんの友人)もアテになりそうもないから、◯◯(私とカミさんの共通の男の友人)に同じことを頼んでおくから、と言うと、カミさんも 3 秒ほど考えてから、◯◯くんも可哀そうに、アンタ、あまり他人を巻き込まないほうがいいわよ、と能面のような顔で言ったのだ。こりゃ最後は息子に託すしかないと思ったが、あんな 2 次元の女にしか興味を持っていないような次元の低いヤツはもっとアテにならないだろうとあきらめた。

となると、娘が可愛いさかりの小学生のころの姿で私の夢にまで出てくるというのは、これは何かある。しかも、もう長くないんでしょなどと洗脳というか暗示めいたことまで囁く。うーむ。私はうなったね。想念戦争はもうすでに始まっているのだ。しかも身近なところから。とは言え、仮にカミさんのたくらみがうまくいったとしても、カミさんは自分のしたことの後始末を必ずつけざるをえなくなる。それは一応縁あって連れ添った身としてはほうってはおけない。迷える子羊を救ってやらねば。

でも待てよ、と私はまた思う。果たして彼女は迷っているだろうか。迷うような女か? おそらく罪悪感すら抱かないのではないだろうか。昔、弘兼憲史がどこかで書いていた。政治家の賄賂問題で世の中が騒いでいたころだ。妻の柴門ふみが、賄賂でぎゃあぎゃあ騒いでるのを見て不思議だと言ってたと。自分がしてほしいことをしてくれるだけの力を持ってる人間がいて、その人間が自分のしてほしいことをしてくれたら、それだけのお礼をあげるのは当り前だ。その人間だって、その人のしてほしいことをしてあげるだけの力なり立場を持っているんだからこそできるんであって、その見返りをもらうのは当たり前だ。私だったら袖の下だろうがなんだろうが当たり前にもらうし、罪悪感などこれっぽちも感じない、というようなことを言ったらしい。

それを聞いて弘兼は、こりゃ女が政治家になったら大変だと思ったとかなんとか、そんなエッセイだったと思う。私は弘兼って漫画家の作品は知ってはいるが読んだことはないから、そのときは特になんとも思わなかったが、今になって弘兼の気持ちがよくわかる気がする。

女というのは空恐ろしいわな。男同士ならまだ論理的に話せるもんな。ああそうか、お前の言うほうが正しくて俺は間違っていたとか、決着がつく場合が多い。逆に、論理的な破たんを指摘されて、納得できずにヒステリーを起こす男は、ただのガキか、女々しいヤツと相場は決まってる。でも、男でも、社会的な理屈で正しいことがらであっても、義理だ人情だの諸事情で筋が通らない場合は問答無用に行動に出ることがあり、その場合もだいたいにおいて行動に出るヤツの言い分のほうが正しいことが多い。花田秀次郎みたいに。

そういえば三島由紀夫は、女が男に一生勝てないものがふたつあると言った。それは知性と筋肉だと。

でもミシマさん、最近なんだかそのご高説もあやしくなってきました。知性とか筋肉が輝いていた時代とは様子が変わったようです。

なんの話だまったく。

ほらもう時間がない。本当はプラトンの話をしようとたくらんでいたのに、くだらないマクラからまたわけがわからなくなってしまった。久しぶりのブログでこれか。このあと時間あれば、なくても早めに、プラトンのっけよう。「魂」についての話です。

せっかくだから、女、スピリチュアル、想念の戦い、っていう 3 題噺で、トリシュ・ジェーンシュッツの『霊能者狩り』を貼っておく。無理やりっぽいが。これも女の作家によるちょっと不気味な SF サイコミステリー。テレキネシスだ、クレアボイヤンスだ、サイキックのてんこもり。でも、この小説の内容は今になって現実味を帯びてくる……

Commentコメント

  1. spacelight より:

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    ∞酒林∞さん、こんばんは~ 60年代以前なのに、私、月ヨープル…は知りませんでした~♪
    しっかりした娘さんですね。∞酒林∞さんの最後を、ちゃんと看取ってくれることまちがいなさそう
    ですよ。今日の夜7時半からの「クローズアップ現代」(NHK)で、お迎えなんとかというのが放送されていて、自宅やケアホームで、死が近づくと、自分より先に亡くなった両親、友人、かわいがっていた犬や猫が夢枕に立って、やすらかに(怖がらずに)死んでゆく、みたいなことを医学的には幻覚の可能性もあり、とか言ってました。やっぱり家族に看取ってもらいたいですよね(笑)
     三島由紀夫の小説、何冊か読みましたが、いつも感じるのは、彼は裕福に育っている割には
    愛情不足だったのではないのかなぁ~と。。間違ってます?

  2. ∞酒林∞ より:

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    spacelight様
    コメントありがとうございます。
    ここのところPCに向き合う時間もあまりない不甲斐ない生活をしています。
    >60年代以前なのに、私、月ヨープル…は知りませんでした~♪
    そうですか。けっこうテレビで流れてました。で、地蜘蛛っていますよね。
    壁とか木とかに沿って地中に巣を作って中に潜んでるクモ。
    あれをつかまえて腹を潰すと白いものが出てきて、
    それ見ながらみんなであのCMソングを歌ったものです。
    ガキは残酷ですね。いろんなことをしましたが、あまりブログじゃ・・・(笑)
    > やっぱり家族に看取ってもらいたいですよね(笑)
    私はひとりでいいかなと思ったりもします。
    > 三島由紀夫の小説、何冊か読みましたが、いつも感じるのは、彼は裕福に育っている割には
    > 愛情不足だったのではないのかなぁ~と。。間違ってます?
    これはあるかもしれません。ミシマ家は幼少のころはおばあさんの権力が圧倒的に強く、
    ミシマくんは薄暗い陰気な祖母の部屋で過ごした時間が多かったようです。
    だから、いわゆる母とか父の愛情は制限されてたように感じます。
    で、本人の資質もあるのでしょうが、のちの少年期の日本浪漫派への傾倒へとなったのでしょう。
    晩年はギリシャ的アポロン的陽性へと変わるわけですが、あの最期はやはり日本的でしたね。

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